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2012.10.23

15話 お散歩エッセー 〜早朝編〜

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朝5:30。とっくにペロは起床。二階から階段をおりてくるトントトンの音でそれがわかる。散歩はまだか!起きているのは知ってるぞ!!と僕の仕事部屋のドアをひっかき、催促しだす。二、三回ひっかくと犬の力でも開くようにしてある。いやノブが壊れているので開いてしまう。少し開いたドアの隙間から、ペロの真っすぐな眼差しが熱い。負けじとパソコンモニターから目をそらさないオレ。ここでペロの要求に応えてしまっては、完全に主導権を握られてしまう。人間がお犬様に散歩に連れて行っていただくカタチとなってしまうのだ。負けるが勝ち?いや、犬には通用しない。次第にモニター釘付けの目がしょぼしょぼしてくる。。話はそれるが、昔会社勤めしていた頃、Mac導入によって、それまで高視力を誇っていた仲間が次々と低視力に陥った。そんな中、なぜオマエは高視力のままなんだ?と不思議がられたことがある。ニュルリと一言、集中力がないからずっとモニター見てられないんです、アハハ。ニュルリと口から出た答えが自分の耳に還り、ハッとした。絶対そうだ、なるふぉどぉ、うんうん。自分で言って自分で納得、よくあることだ。集中力がないってことは良いこともあるんだな。話を戻そう。なのでモニターをずっと見続けることは慣れてないので、この状況、視力維持のためにも、いち早く回避しなくてはならない。ペロよ、一度寝床へもどってくれはしないか?そしたらコチラからスグ誘ってあげるからさ。心の中でつぶやいた。その時、一瞬ぼくの白目の視界にぼんやり見えていたペロの熱い眼差しが消えた。ほっ、諦めて寝床に帰ったかな?と黒目をゆっくりドアの隙間にやると、、一歩さがった位置、仕事部屋の灯りが届くか届かないところにペロは移動していただけだった。しまった!ひっかかった!!しかも目が合うと同時に、ひょこんとオスワリまで決められた。参った。かわいぃ。。完全に敗北だ。思わず。ペロォ〜〜〜と甘い声まで漏れてしまった。すぐさまマックをスリープにして、タバコ、灰皿、ウンチ袋三枚、オシッコ水、ボール、チキンジャーキー、お手製20mロングリード、携帯電話を装備し、ペロと共に、秋のうす暗い早朝へと飛び出した。

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寒い。はやくもTシャツにぴらっぴらのウインドブレーカでは厳しい季節になってしまったようだ。ではTシャツの上にパーカーを着込むか。いや、フードがわっさわっさと二枚になってしまいお洒落でない。ではTシャツをやめてセーターにするか。いや、直にセーターはチクチクする。ではいっそ、去年買ったユニクロの安ダウンジャケットオンリーで勝負するか。いや、一枚は危険だ。万が一にも鳩のフンが背中に不時着してしまったら、いや、毛虫にしよう。ペロのお父さん!脱いで!背中に毛虫がっ!!という事態にどう対処するか。きっと慌てて脱いでしまうだろう。もはやお洒落以前に、着るか着ないかの野性味溢れた男の中の男に映ってしまう。さらにはそれを計算づくで?と勘違いされたら面倒臭いことこの上ない。。な〜んてどうでもいいことを考えながら、はなからHOT缶コーヒーで解決という腹だった。すでに自宅から一番近くの販売機でペロに待てを命じ、ポッケに手を入れ100円玉を盲牌している。自分はこのダイドーの販売機がとてもお気に入りだ。なんとポイントカードが発行され、100(本)ポイント単位で景品がもらえる特典付なのだ。その上、デジタルスロットが作動しビンゴで2本目ゲットなシステム付。さらに100円ポッキリときた。さてと、いつものダイドーブレンドコーヒーをチョイス。当たれ!ちぇ、ハズレ。いつものわざとらしい前後賞だ。そそくさコーヒーを取り出す。つかの間のギャンブルを消化した客に、さらに販売機からけたたましくも情熱的なメッセージが、購入者へと浴びせかけられる。“イツモ、キマッテマスネ!オシゴト頑張ッテクダサイネ〜!”。他にも何種類かメッセージがある中、ビンゴなこのメッセージ。つくづく俺を熱くさせるダイドー販売機をあとに、おれは尻文字でアリガトウのサインを送った。

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遊歩道までおよそ150m。たったその距離を歩いただけで先ほどの寒さはどこかに消えた。遊歩道に入ると、ペロは何回も俺の目を見る。そう、ぼくのチチチッという合図を欲しているのだ。この合図でペロは端に寄りオシッコをする。しかし、その忠実は距離にして、ほんの50mといったところだ。その後は実に油断ならない。つい先日は、ぼくの短い足に高々と足を上げて用を足しているところを、共に雑談していた散歩仲間が目撃ドキュン!とっさにニュルリと避けたものの、まるでオレがトイレで失敗したかのようなツララ状の痕跡が残る始末。よってその日の散歩は、行き交う人の目が足下のツララにいかないよう、極端な笑顔で相手をガン見し、変化に富んだ不規則なステップで歩くハメとなった。うちの犬、このステップが大好きなんですよ〜^^シャルウィ〜ダァ〜ンス^^!話を戻します。そのまま遊歩道を歩き続けると、やがてK大学が見えてくる。この辺りまでくると、ペロの便意は小から大に移行し、地面をクンクン、S字を描くようにグングン、オレを引っ張り始める。大便の合図はワンツーにしている。ワンツー、ワンツー。縁石に寄りはするが、なかなか出ないのが常だ。頃合いを見て、背後から肛門を観察すると、すでにコンモリと盛り上がり、ピクピクさせている。近いな。僕は辺りを見回す。よし、浮気する人も犬も居ない。今だぞ!ペロッ!ツッツッツ。。。ワンツーは言わばそろそろ場所決めに取りかかれ的な準備合図。ツッツッツは、チャンスだペロ、今なら集中して排便できるぞ!!の実行合図だ。ツッツッツ、ツッツッツ、、出ない。このままだと散歩ラッシュの時間帯に突入してしまう。しょうがない、緊急合図に変更だ。ツッツク、ツッツク、、、なにくそ、ツクツン、ツクツン、ツクツン、、、だめか。肛門様はまだ旅を続けたがってるか。このまま無言で環七まで進む。そこでUターン。暗黙のルールで、犬は人間の左に付けて歩く。これは日本の左側通行からきている。通路の左側を歩き、さらに犬を左に付ければ、犬嫌いな人やお子様から離すことができる。安全なのだ。したがってUターンといっても、損した気持ちにはならない。ペロがまだ手をつけてない新鮮な反対側の縁石を攻められるからだ。後半戦勝負だ。ところが向こうから、青年に連れられた初見の犬が、ズンズンこちら側の縁石を攻め、近寄ってくるではないか。犬を右に付けてるってことだ。ナニクソ〜この縁石は絶対ゆずらない。。こういう時の作戦も一応考えてある。ヒントは通勤にあった。人の行き交う地下鉄地下道。ここは、人をよけて前進する者と、人をよけさせて前進する者とで構成された、言わば芸術的ともいえる、不公平をカタチにした場所である。ぼくは完全によける側の人間だった。よけてよけて、屈辱的な通勤をしていた。おれはいつも急いでいた。急ぐがあまり普通に歩いている人が止まって見えるほどだった。急がば回れという言葉がある。本来の意味とは違うが、急ぐ者は回るほかないのではなかろうか。回って回って回って回〜ルゥ〜ゥ〜。ならばゆっくり歩けば、人はよけていくのだろうか。そうなのだ。よけていくのだ。ゆっくりゆっくり。簡単なことだった。ここで話が終わるのもつまらないので、応用編を残しておく。遠くを見ることだ。前からズンズンやってくるライバル達の頭の少し上を、あたかもUFOを目撃しているかのような眼差しで、ポカンと一点を集中して見続けるのだ。するとライバル達は一目置いて自然とよけていく。さらに急を要する際には、同じ角度を見つつ、カ〜ンチッ!と全力の笑顔で叫んでみよう。ライバル達の耳元では東京ラブストーリーが流れだし、一本のステキなロードができあがる。より歩きやすいことこの上ない。。さてと、話を戻すのが難しくなるほど入れ込んでしまった。そうそう、こちらの縁石をズンズン向かってくるルール無用の青年愛犬家。さあどの作戦を使うとするか。とりあえず基本のゆっくり歩け作戦遂行。あきらかに向こうよりゆっくり歩いている。このままこのまま。ペロもこのプロジェクトを知ってか知らずか、とてもクールにのんびり散歩を楽しんでいるようだ。いいぞペロ。ここで念のためオプションを使っておくか。オプションとは鼻歌だ。似たようなスピードで真っすぐ向かって来るライバルからは、こちらの微妙なゆっくり感が伝わらない。そこで少し耳を澄ませば聞こえる程度の鼻歌によって、こちらの方が時間に余裕があり、とてもゆっくり歩いているんだ、そしてこの遊歩道をのんびり散歩することこそ、何よりも誰よりも大好きなんだという意思をも明らかにしてしまう上級者向けの手法だ。鼻歌は上を向いて歩こうにするか。ツ〜〜♪ツ〜〜♪ツツ〜〜♪ツツツ〜♪♪あれれ、これは見上げてごらん夜の星をだな。なんだったっけな。ツ〜ツウ、違う、ツ〜ツツ〜、おかしいなぁ、ツ〜ツツ〜ツクツン、ツッツッツ〜、ツッツク、ツッツク、違うな〜。。あ!おいペロ、どした!!突然ペロがS字を描くようにクンクンとリード引っ張りだした。あ、いけない!こんな時に緊急合図をだしてしまった!!オレとしたことが、。ペロ!ゆっくりだ!すでにペロは忠実を武器に、自らの便意だけに集中している。ズンズン。。作戦失敗だ。前方のルール無用の右側通行青年愛犬家がまるで止まって見える。完全によける側の世界が、オレの視界にひろがっている。しょうがない。ペロのせっかくの便意のためにも、急がば回るか。もう負けを認めてよける側になろう。すでに間合いも10mを切っているし。。とその時、ペロの足がピタッと止まった。ウンコか?肛門確認。勝機!肛門様はこの宿場をお気に召したようだ。“九回裏ツーアウトからペロ選手、ついにウンチ場所を見つけました!!バッターボックスでクルクル回りだすペロ選手!まるでドカベン殿馬の白鳥の湖だ〜!”土壇場、残り3m。ルール無用の右側通行青年愛犬家は、肛門様ご自身の印籠を突きつけられ観念したか、縁石を離れるようリードで愛犬を誘導し始めている。おれは勝利を確信し、誇らしげに片足を縁石にかけ、ゆうゆうと散歩バッグからビニール袋を取り出す。完全に勝利に酔うオレ。そんなオレをルール無用の右側通行青年愛犬家はどんな顔で敗北を噛み締め、よけていくのか、つい確認してみたくなった。チラッ。おや、いい笑顔じゃないか。若者らしい潔い表情を浮かべながら、今まさにオレ達をよけようとしている。逆にスマンと思ってしまった。。。その時だった。「おはようございます〜^^!!」うわぁっ!な、なに!?まるで数十メートル先の老人に発するような、近距離ではあり得ないボリューム設定!!とっさに息子にしたい!と思ってしまう程の元気の良さだ。ところが事態は急変。“あ〜〜〜っと!バッターボックスのペロ選手!ビックリしたのか、打たずして一塁方向へ走り出した〜〜!こ〜れ〜は〜違反行為だ!審判すかさず、アウトのジェスチャ〜だ〜アウトーーーーッ!試合終了!!”。。。まさかあの近距離で、御挨拶というオプションを出してくるとは、とんだ御挨拶だ。。驚いて反対側の縁石に向かってズンズン引っ張るペロ。負けを認めようじゃないか。振り向くと、何も無かったかのような笑みで軽く会釈をくれた。ん?やっぱりイイ奴じゃないか^^。友達になれるかも^^。オレはすかさず、ども〜^^冷えますね〜^^。すると、エッ?という表情。もう一度、冷えますね〜^^。すると、ん?の表情。何やら耳をいじっている。。なに!?ウォウォウォークマンかよ!片方の耳からヘッドフォンを抜き、なんすか?の表情。必要以上にでかい御挨拶はこのせいだった。。。反対側の縁石でオレはペロにささやいた。ペロォ。。ゆっくりウンチしていいよ。もういいんだ。終わったんだ。震えてるのかい?怒りに震えてるのかい?いいんだ、いいんだよペロ、落ち着くんだ。。。体を丸めてブルブルと最後のひとひねりに必死なペロに、オレはささやき続けた。ペロ、忘れるんだ。そして早く行こう、みんなが居るW公園へ。

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W公園はこの辺りだとダントツに広く、愛犬家にとっては遊びの幅が広がる最高の公園だ。参考記録だが朝の瞬間最高犬数はなんと23頭をたたきだす程だ。皆口々に言う、こんなに愛犬家が仲良く集う公園はないと。もちろん子供達が喜ぶ遊具もなかなかのラインナップだが、鉄棒がないのが昨今の公園事情。逆上がりを教えるお父さんにとっては非常に残念に思う。まあそれは置いといて。散歩仲間の皆さんがやってくるのは、この季節7:00くらいだろうか。その前にお手製の超ロングリードで、ペロとボール遊びをしよう。実はペロ、ボールにあまり興味がない。犬とボールで遊ぶことこそ本望だったオレは、なんとかボール好きになってもらうべく、最初はチキンジャーキーのご褒美付にした。超ロングリードの長さは20m。その長さギリギリを狙ってボールを投げる。

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ヨイショ〜!一瞬キョロキョロ戸惑うペロ。超ロンリードを引きづりながら飛んでいく健気なペロ。時々ドングリに浮気するペロ。ボールをくわえてこちらに飛んでくる腹ぺこなペロ。リードが足や体に巻き付いてても気にしないペロ。オレの手を咬まないようにチキンジャーキーの端を繊細についばむペロ。ほんとはボールなんか興味ないのに付き合ってくれてるペロ。ペロ。ペロ。ペロォ。う〜ん、もう大好きだ!!だけどこの日、最後に投げたボールは頭上高く、木々の葉をバサバサかき分け舞い上がり、戻ってこなかった。

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ペロよ、明日から早起きして落ちてきたボール見つけような。絶対見つけようぜ・・・でもょ、時が流れ過ぎて、もう一緒に探すことができなくなっちゃったら、、上から見つけて落としてくれよな。そしたらもっともっと高ーく投げ返してやるよ。引っかからないように落とすんだぜ。それでオレはずっと笑って居られる。

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朝9:00。帰り道。今日もたくさんの犬と散歩仲間の笑顔に元気をいただいた。ペロの腹ぺこを考え、帰りは近道ルートを選択。すでにペロは歩きながらチラッチラッと腹ぺこビームを連発している。わかってるさビームで応戦。さすがお父さんビームが返ってくる。どういたしましてビームの代わりに、歩調に合わせてリップサービスを繰り出す。ごはん^^ごはん^^朝ごはん〜^^。ペロの足取りが次第に軽やかになる。子鹿のようにぴょんぴょん跳ね歩くペロ。早歩きから小走りへ。その喜びをオレは持て余しながら、段差や水たまりなど、街の小さな障害物を大袈裟に先頭きってクリヤしていく。爽快だ。七三になびく髪も気にしない。オレの後ろに、オレと同じ道を走り、同じ障害物をクリアして、同じ空気をいっぱい吸い込んでいるペロが居る。つまらない煩悩は吹っ飛び、とってもシンプルな今日を教えてくれる^^。

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最後のオシッコ場所で、チチチッの合図。数滴。のこりのオシッコ水をすべて使い切る。ラスト50m、ペロと呼吸を整える。おつかれ!ペロ^^。玄関で全身をウェットティッシュで拭き、最後に足を丹念に拭く。よし!いっちょ上がり〜!と肩をポンと叩く。ペロは一気に二階へとすっ飛んでいく。めでたく朝食にありつくペロなのでした。ワンワン。

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柴犬ペロォ
2011.6.24生まれ♂。本名「夏の黒政号」
娘さんデザインのダンボール造新築一戸建てに住んでいる。
趣味は洗濯物の上でオシッコすることだ、ガハハ^^
それとお父さんの膝のカサブタを舐めることだ、ガハハ^^

 

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コメント

わははは...すごい力作!ブログとは思えません!!

感情移入してしまいましたわ。
そして、ここかしこで笑わせていただきました。(^○^)

次号にも、期待!

ぼくにとって約五ヶ月分のブログ割当エネルギーを使ってしまいましたよ。。トホホ。

ホントにものすご~い力作を拝見!
笑いに笑ったことでした。
しかも真夜中の三時ごろに・・・(笑)
だって~、おっかしいことこの上なし
なんですもの!!!
素晴らしい文章力! 脱帽で~す!
また次回も楽しみにしてますね。

  PuppyことKen&Mari's Mom より

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

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