20話 二人の先生。
遊びの達犬、黒ラブラドールのウォレス。
教育の達犬、甲斐犬のゴマ。
人間では教えられない
犬社会のルールやマナーを
ペロはこの二人から多く教わったろう。
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「こうやって遊ぶんだよ〜〜^^!!」
ウォレスはいつも、ペロにそう言いながら
跳ね回っているようだった。
時には仰向けになり、
小さなペロを乗らせて、あやしているようにも見えた。
ペロにとっては、
色んな遊びを知ってる頼りがいのある
大きなお父さんに見えただろうか。
本当に頼もしい存在。
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「こらこら、やめなさいよ^^」
いつもキレイにお座りして大人しそうなゴマ。
でも、ペロが他の犬と喧嘩した時は、
間に入ってかばってくれた。
時には、ペロがいけない事をすると
ワンッ!とひと吠え。
しっかりと分かりやすく叱ってくれる。
「ゴマはペロを息子と思ってるのよ^^!」
ゴマのお母さんがそう言うのには訳がある。
去年の秋。
ペロが二回目のワクチンを終えて、
初めて自分の足で散歩に出ようと
玄関を開けたら目の前に居たのがゴマ。
お母さんお手製の洋服に身をつつみ、
お母さんの横にピッタリとお行儀よく歩いていた。
「あらら~おチビちゃん~何ヶ月~^^?」
とても気さくに話しかけてくれたのを覚えている。
ペロの名を知ったのも、触ってくれたのも
ゴマとお母さんが最初だった。
お母さん曰く、
「犬は初めて散歩で会った犬を忘れないんだよ^^」
ゴマの方も「私が最初なのね^^」と感じ取ったのだろう。
本当に頼もしい存在だ。
うちの家族にとっても。
初めて犬を飼う自分らにとって
犬を飼う事は色んな意味ですごい事で、愛犬家は皆、
それ相当な勉強を重ねた上で犬と共に居ると思っていた。
しかし現実はそうでもなかった。アレレ。。
そんな拍子抜けした姿勢を再び正してくれたのが
ゴマのお母さんに借りた犬の本。
本の内容も終始「ペットを飼う」ではなく、
「動物と暮らす」という観点ですごく好感が持てた。
しかし胸を打ったのは、余白に書かれた直筆のメモ書きの数々。
まるで受験生の参考書状態だった。
こんなベテランでも、今も時々読み返すという。
素晴らしい姿勢を持った方だと思った。
実に頼もしい存在だ。
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早いもので、出会いから一年が経った。
ペロは一歳五ヶ月。
もう成人式を迎えた頃だろうか。
お陰様でここまで順調に育ってくれた。
でも二人の先生とは、
なかなか会えない状況になってしまった。
二人のお母さん共、ご病気で、
犬を預けることになってしまったからだ。
ゴマとお母さんが公園に来なくなって
もう五日くらいだろうか。
今まで埋まっていたものが、ぽっかりと足りない。。
飼い主の気持ちを察してか、
ペロの元気も無いように見えてしまう。
ゴマのお母さんが歩けなくなったと聞いて
その夜、訪ねた時に、ペロの気配を感じて
家の二階から聞こえたゴマの鳴き声。
何を叫んでたのだろうか。
横に居た息子ペロにはわかったはず。。
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公園で友達がおやつをもらったり、遊んでる中
ペロがある方向をじっと見て座っている。
公園の裏の入り口。
ゴマとお母さんのお家のほう。
ペロはいつまでも待ってるよ。
「親思う心にまさる親心」松蔭
柴犬ペロォ
2011.6.24生まれ♂。本名「夏の黒政号」
娘さんデザインのダンボール造新築一戸建てに住んでいる。
趣味は洗濯物の上でオシッコすることだ、ガハハ^^
それとお父さんの膝のカサブタを舐めることだ、ガハハ^^