68話 貴重な環境。
「こいつ、きっとイイ奴だ。
優しい顔してる。。」
うん、きっとイイ奴だ。
友達になっときなさい。
「…オイラのお尻、嗅ぎたい?」
、、、次の公園いこっか。
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なんとか公園。
「父さん、ずっと向こうで
みんな集まってるよ。」
オヤツ配ってる人がいるんだよ。
「なんですって!行きましょーっ。」
おまえはいいのっ。
そこで休んどきなさい。
オヤツはゆっくり居間で食べるもんだ。
こんなとこで食ってもウマかないぞぉ。
「ウマいよ。」
それにおまえさん、
オヤツをもらった人に対して、
執着が激し過ぎる。
「一宿一飯の恩義、だからね。」
はぁ?
たかってるだけだろ。。
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駒沢公園。
お気に入りのスペース。
勝手に「切り株広場」と名付けた。
「人間は面白いね。。」
なぜだ?
「手を使わずに、
足だけで遊んでるんだもん。」
サッカーのことか。
たしかに贅沢なスポーツだな。
せっかくだから、あいた手で
お裁縫でもすればいいのにな。
「いいや、父さん。
あの手は何もしてないようで、実は、
敵を交わしたり、バランスを保つのに
一役かってるんだよ。
オイラのシッポのようにさ。。」
…わかってるじゃないか。。
「さ〜てと、
ボレーシュートの練習でもしよっかな。」
ボレーシュート…?
「トコトコトコ、、、エイっ!」
ナイスボレー!!
…ってオイオイやめなさい。。
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緑泉公園。
「なにしてんだよ。
映画館の暗闇のなかで
そうやって腰掛けてたって
何も始まんないよ。
スクリーンの中は
いつでも空っぽなんだ…。」
寺山修司気取りだな。。
いいじゃないか。
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フ〜、今日も公園十カ所巡り
無事達成だ。
しかし、ここ世田谷では当たり前のように
犬を連れて公園に入るけど、
他の区ではそうもいかないんだよな。
なあペロよ、オレたちは幸せ者だ。
こんな恵まれた公園環境で
オレはこうしてベンチに腰をおろせる。
おまえは土や草の匂いを飽きるまで嗅げる。
だけど、この当たり前が終わってしまう事を
当然と考える善良な反対側の人もいる。
その声を、オレたちは散歩で拾って歩く
くらいでないと良くないのかもな。
恵まれた幸せな環境なんて言ってる場合かな。
残された貴重な環境なんだよな。
後の犬たちにしっかりつなげないとな。
柴犬ペロォ
2011.6.24生まれ♂。本名「夏の黒政号」。
娘さんデザインのダンボール造新築一戸建てから、
ケージ、ソファ、階段…、転々と寝場所を変えている。
趣味の洗濯物の上でオシッコすることはとっくに卒業。
現在の趣味は、、お友達と公園で遊ぶことさ!