227話 ピーター、またな！！

ピーターが亡くなった。

享年16歳。

おととい、飼い主さんご夫婦から

ペロパパの声を聞かせてあげて、、

とのご連絡をもらい、

病院帰りのピーターと車内で

久しぶりに会うことができた。

意識はほとんどなかったが、

ピーター！！と声を張ると

ハグハグ、、と口を動かして

吠えに満たない声で応えてくれた。

先生の見立ては、今夜がやま、。

生きているピーターに会えるのは

これが最後。。

踏ん切りがつかないまま、

ピーター、またな！！

としか言えなかった。

あんなにお世話になったのに。。

花屋さんに用途を伝えると、

これ、花弁開いてきちゃったから

サービスで入れておきますね＾＾。

と黄色いバラを四、五本足してくれた。

火葬場のあるお寺に少し早く着いた。

地元の犬仲間の多くがお世話になっているお寺。

喫煙所でペロォにオヤツをあげながら、

、、そういえばここで、

、、ペロォにオヤツあげたっけな、、

、、なんてポツンと思い出したりするのかな、、

なんて、いらない想像をしてみたり。。

飼い主さんご夫婦の車が到着。

わるいね〜、ありがとね〜。。

気丈に振る舞おうとしてくれているお父さん。

その手から、だらんとこぼれ落ちそうな

ピーターの痩せた体が辛かった。

ピーターとの出会いは十年くらい前。

初めて会った私の前でゴロ〜ンと

横たわってくれたのを覚えている。

それを見たお母さんが、ピー珍しい＾＾！

と驚いてくれたのも覚えている。

お腹を撫でながら、

すっごい嬉しかったのも覚えている。

今でも公園のその場所を通ると、

かんたんにその時の事を思い出せる。

ピーターのお散歩を

頼まれるようになったのは、ここ数年。

家の鍵を預かり、お散歩のち食餌。

食べ終えるのを見届けてからドアを閉め、

ドアサイドの曇りガラスに写るピーターが、

奥の部屋に寝に入るのを確認して、おやすみ＾＾。

今では叶わない思い出。

ピーターはとても穏やかな犬だった。

小型犬に吠えられると、ヒョヒョイと後退りながら

頭を垂れてその場を去ろうとする。

臆病？飼い主さんはそう言っていたが、

その場を平和に去れる、とても強い子だった。

ペロォには最高のお手本だった。

ピーターの穏やかな強さは、

ペロォに願ったり叶ったりの環境だった。

ピーターと居ると小さな事が小さな事でおわる。

ペロォに足りなかった部分を、

私に足りなかった部分を、

ピーターがゆっくり埋めてくれたと思う。

もっといろんなことを教えてもらいたかった。

ピーターにとって今の飼い主さんは三家族目。

5歳の時に譲り受けた犬だった。

迎えた当初、この辺りでは、

ドラム缶のように太った犬で有名だったらしい。

それを今の飼い主さんの努力で

15キロのダイエットを果たし、

ドッグフードメーカーの企画か何かで

ダイエットチャンピオンに輝いたらしい。

いろいろ苦労したピーターだが、

今の飼い主さんとの時間は本当に幸せだったはず。

ピーターの行動を見ればすぐわかる。

もうこの目でピーターを見れないんだな。。

この手でそのかっこいい毛並みを

ワシャワシャできないんだな。。

ピーター、ありがとな！！

畜生、、言葉はいつも思いに足りない。。

ピーター！

ペロォと歩いてくれてありがとなーーっ！！

黄色いバラの花言葉知ってっか！

「友情」だ！

ペロォをよろしくなっ！！

またそっちで一緒に歩いてやってなっ！！！

ピーターかっこいいぞ！

かっこいいぞ！！！かっこいいぞ！！！

かっちょいいぞーっ！！！ピーターーーっ！！！

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柴犬ペロォ

2011.6.24生まれ♂。本名「夏の黒政号」。
娘さんデザインのダンボール造新築一戸建てから、
ケージ、ソファ、階段…、転々と寝場所を変えている。
趣味の洗濯物の上でオシッコすることはとっくに卒業